サカサマのパテマ(ネタバレ)
サカサマのパテマ(http://patema.jp)見てきた。
以下感想(ネタバレ含む)です。
大枠としてはすごく楽しめた。
これやりたかったんだろうな、ってシーンは相応のカタルシスがあったし、
価値観の逆転っていう部分もうまく描けていて感動。
特にエイジの「サカサマ人間はお互い様だろ」が自然で良かった。
働く重力の向きが異なる人間が動いてる画も、いい具合に奇妙。
話の展開もスリリングで文字通り二転三転。手に汗を握った。
ただ、残念な点も沢山。
1. (物語内の)物理法則に合ってない?
パテマが足かせをつけて、エイジの腕を掴んで歩くシーン。
この時足かせもパテマの足も地面に着いていたのだけど、これは不可能では?
ラストシーンの方はパテマがリュックを背負っていたので可能なんだろうけど。
(ただし見間違いかもしれないのでちょっと微妙です)
2. 顔が手抜き
確かに背景は素晴らしく美しかった。でもキャラクターの顔が薄すぎる。
影の付き方も変だ。
おかげでパテマがあんまり可愛く見えなかった。
2. 登場人物のキャラが抽象的
- パテマ。重力反転に慣れるのが速すぎる。折角の重力反転の設定がキャラクターにとって大して特殊な状況ではないように見えてしまう。
- エイジ。パテマに惚れるのが速すぎる。それならば、「周りの人間が誰も共感してくれない」状態をもっと過酷に描く必要があるのでは(そもそも他の生徒は共感してくれそうだったから、孤独キャラという設定にも無理がある気がするが)。
- イザムラ。あそこまで執拗に地底人を排除しようとするだけの動機がわからない。世界の秩序を守るためとか言ってたり、エイジが「怖いだけなんじゃないの」と指摘してたりしたが、イザムラ側の正義を描写してほしかった。
- ジャク。こういうキャラは確かに爽快なのだが、やっぱり動機不明。
3. その他、ご都合主義的展開など
- パテマを助けに行くシーン。
あんなに監視カメラがあるのに、いつの間にかパテマの部屋に辿り着ける。
(イザムラが、あえて警備を緩くして地底人を芋づる式に捕まえようとしたのかと思ったが、違ったようだ) - 空に落ちた後、エイジ父の装置で都合よく"元の場所"に戻れる。
- 2回目のネットランチャーは気合でなんとかなる。
- 腕力半端ない。
4. 空に落ちる恐怖感があまり感じられない
これが一番重大。
画の見せ方もそうだし、キャラクター自身もあまり感じていないように見えてしまった。
何回かあった空を見下ろすシーンでは、確かに寒気を感じる画ではあったが、
それでもまだまだ足りない。全然怖くない。
エイジは、パテマの腕を掴んで無邪気に走ったりしてるけど、手滑ったらパテマ落ちるんだよ?
イザムラと対峙するシーンでも、イザムラの内心を見透かすような振る舞いに出てるけど、それでイザムラが逆上したりしたらパテマ落ちるんだよ?
こいつバカじゃねぇかと思ったよ。これは空に落ちる感覚を知らないという演出なのか?だとしたらパテマをもっと怯えさせないといけないのではないか?
などいろいろありましたが、総じていい映画だと思います。
一番好き、というか印象深いシーンはパテマがイザムラの腕にしがみつくシーンです。
あとポルタ可哀想過ぎるだろ。