人生、しょせん気晴らし
短篇集。「哲学という気晴らし」の章以外は大変読みやすい。
徹底したニヒリズム。世の人々がぼんやりと抱きながら目を背ける問題に、真剣に悩み苦しむ内容となっている。
悩んでいたのは自分だけじゃなかったんだ、悩むことは正当なことなのだ、という救いが得られると共に、やっぱり人生は虚しく儚いものなのだ、という確信には絶望すら覚えた。
そんな儚さを美しいとでも思っていないと私達は生きていけないのだろう。
私は、自分の弱さに必死で立ち向かうキャラクターに強い魅力を感じるのだけど、
自分の趣味嗜好の源泉に触れられた気がした。