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「なぜ人と組織は変われないのか」を読んだ

読書録

タイトルはどう見てもありがちな自己啓発本だが、充実した内容だった。

本書に寄れば、その答えは「自らを守る免疫が作用しているから」となろう。

人と組織は、自らの何かを変えようと願うがうまくいかない。このとき、以下のようなメカニズムが生じてている。本書では「免疫マップ」と呼んでいる。

1. 改善目標を立てる。
2. 1.を阻害する行動をとる。
3. (多くの場合無意識化に)2.を引き起こす目標をもっている。
4. 3.を正義とする強固な固定観念がある。

例を挙げる。登場するのは会社のマネージャー。改善目標は、「業務の忙しさを緩和するため、部下に作業を移譲する」だ。

1. 部下に作業を移譲したい。
2. 生じた作業を自分で実行してしまう。
3. 卓越した、唯一無二の存在だと思われたい。指示だけ出して手を動かさない人間になりたくない。
4. 多くの作業は、部下よりも自分でやった方が速い。自分で手を動かさない人間は価値がない。

なるほど、筋が通っている。
では、どうすればいいのか?

本書では、免疫マップを発見するまでに鍵があると述べている。

人と組織が変わるには、心理と行動が同時に(互いに作用しあって)変わる必要がある。多くのダイエットが上手くいかないのは、ダイエット法のみ取り入れられ、心理が本当に変わっていないからだ。あるいは「ダイエットしたい」という想いを抱えたまま何も行動しないということもあるだろう。

免疫マップを分析した上で(このプロセスは事例を挙げて詳細に述べられている)、「強固な固定観念」の正しさを検証し、トライ・アンド・エラーを繰り返すことによって初めて人と組織は変わっていくことができる(そしてそれは年月を要する、ということも強調されている)。

 

私の最近の免疫マップは以下のようなものだ(中島義道の「怒る技術」などにも影響を受けている)。

1. 他人とのコミュニケーションで不快感が生じたら、早い段階でその原因を相手に伝えたい。
2. 他人の言動にあまり関与しない。
3. 不快感を持ちたくない。相手に反発することで厄介事を起こしたくない。
4. 他人とのコミュニケーションは、自らを抑えてでも穏便に済ませるべきだ。

これは徐々に改善?されてきている。とはいえ、この免疫マップも向き合い続けることで形を変えていくだろう。