ドヴォルザークの序曲「オセロ」について

ドヴォルザークの序曲「オセロ」作品93は、ここ数年で出会ったクラシック曲の中で断トツに好きな曲だ。

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この曲は序曲3部作の3曲目らしい。2曲目はドヴォルザークの作品の中でも有名な「謝肉祭」。アマチュアオケの演奏会情報を掲載されている i-Amabile さん をみてみると、これまでの演奏回数は2017年12月19日現在で「謝肉祭」が119回、「オセロ」が11回と、10倍以上の差がある。たしかに、謝肉祭と比べられたら派手さは少ない。というか地味。

そんな地味なこの曲のどこが好きなのかというと、上の音源でいうと序盤である4:00以降に現れる、映画音楽的な勇ましい旋律、この旋律が一瞬で終わってその後同じ形では二度と登場しないところ。 こんなに格好いいのに。チャイコフスキーだったらこれをもう2、3回は使ってるよ。8:30あたりでもう一度現れると思いきや肩透かし。9:50あたりから、すこし形を変えて登場。でもあの頃の姿じゃない。コーダでついに来るか!と思ったらやっぱり来ない。で、ドヴォルザーク特有のアクロバティックなコード進行で突然終わり!

で聴き終わって、あの旋律がまた聴きたくなるんだ... 序盤にいいところを持ってきて、期待感を膨らませたまま、そのカタルシスを解放させるでもなく終わる。もしこれが映画だったら不快だろう。でも音楽なんだから、そのまま繰り返しても誰も文句を言わないはずだ。しかしドヴォルザークはそうせず、敢えて手間をかけて変奏した。1回聴いただけでは満足できない音楽体験、それを彼は目指していたんだ(本当か?)。

それでいて、何回も聴いているうちに、前奏も内声が充実しててクソ良いことに気づいたり、各楽器のソロ、アンサンブルがめっちゃ良かったり、そういえばドヴォルザークのここまで洗練されて劇的な曲って知らないかも?と思いはじめたり、「ここ完全に新世界じゃん!」とツッコミをいれたり(オセロと新世界は作曲時期が重複している;新世界のほうが完成が3年ほど後)、いろいろな楽しみ方ができるようになっている。

いつか演奏したい。