転職市場、その入り口

これは Sansan Advent Calendar 2019 5日目の記事です。

導入

誰?

Sansan株式会社でエンジニア*1採用を担当している高橋です。 去年までSansanでサーバーサイドエンジニアやってました。 Follow me.

なんの話?

エンジニアやってたとき、採用ってよくわからんけど大変そう という印象でした*2よくわからんけど の部分の入り口を知ってもらいたいなぁと思い、記事にしてみました。

転職の入り口

ある人がポジションに応募するまではいくつかの経路があります。

自己応募

自分から、この企業に入りたい!と思って応募するパターン。 更に、これもいくつかのパターンに分けられます。

企業のWebページから

企業のWebページ*3から採用ページに飛び、ポジションを選んで「応募」をクリック。

企業側からすると、最もありがたいパターンです。なぜなら、コストが最も低いから (Webページの運用コストくらい) 。しかし、これで欲しい人に応募してもらうのは難しいです。企業イメージをいかにマスに訴えていくかがポイントです。

候補者側としても、もし行きたい企業が決まっているのであれば手っ取り早いです。

各種Web媒体から

求人を複数掲載している Web サービスから、条件を入力、絞り込んで応募する。

媒体もさらに2パターンに分けられます。求人情報や候補者をその企業がコントロールするパターンと、転職エージェントがコントロールするパターン。前者であれば、候補者は応募後に企業と直接やりとりします。後者であれば、候補者は応募後に転職エージェントとやりとりします。

企業側からすると、前者のほうがコストは低く済むことが多いです。なお、多くの場合コストは内定承諾のタイミングで発生します。初期費用が発生する、あるいはサブスクリプションの場合もあります。

スカウト

候補者がスカウトをもらうというもの。トートロジーで申し訳ないのですが、スカウトを送る主体にパターンがあるのでこんな表現になってしまいました。

企業スカウト

企業が何らかのデータベースに対してスカウトを打つというもの。データベースにもいろいろあります。上記のWeb媒体でスカウト機能があったり、あるいは各種SNSなどで声を掛けたり。Web媒体でスカウトした場合、やはり多くの場合、内定承諾のタイミングでWeb媒体に対して支払いが発生します。

通常、スカウト後は企業と候補者は選考ではないカジュアル面談を行います。候補者はカジュアル面談を経て、興味をもったら応募します。すぐに転職するつもりはない人もいるので、そうした場合はまた後日に応募することもあるでしょう。

転職エージェントスカウト

転職エージェント(この場合はヘッドハンターと呼ばれることもありますね)が何らかのデータベースに対してスカウトを打つというもの。そのデータベースは、自社が運営するWeb媒体の場合もあるし、他社が運営するWeb媒体の場合もあります (転職エージェントによって異なります) 。

その後、候補者は転職エージェントとやりとりすることになります。候補者転職エージェントと面談し、いくつかポジションを提示されます。その場で応募するか、あるいはまた別のポジションを検討するか、はたまた一旦転職はやめとくか。

転職エージェント

転職エージェントへの流入は、上記で登場した「転職エージェントが運営するWeb媒体からの自己応募」と「転職エージェントスカウト」、あとは「転職エージェントが主催するイベント」と「口コミ」あたりになります。「口コミ」とは、例えばある候補者が転職成功し、その知り合いが転職を検討していて転職エージェントを紹介する、あるいは単純にその転職エージェントの人脈からの紹介というパターンがあります。

転職エージェントも多くの場合、内定承諾のタイミングで企業へのコストが発生します。企業スカウトよりはコストが高いことが多いです。

転職エージェントも大きく2つに分けられます。初見だとわかりづらいかもしれないので、交互に読むと理解しやすいかと思います。

分業型

転職エージェント内で企業担当 (Recruiting Adviser; 通称RAと呼ばれます) と候補者担当 (Career Adviser; CA やCareer Consultant などと呼ばれます。転職エージェントによって呼称が異なります) が別れている、というものです。企業担当は、クライアントである企業に会い、ポジション詳細についてヒアリングし、候補者担当に伝えます。候補者担当は、企業担当から聞いた情報をもとに、複数の企業のポジションを候補者に提案します。選考に進んだあとも、進捗については企業、候補者それぞれの担当がそれぞれと会話します。

候補者を多く抱える、大規模な転職エージェントだとこちらを採っていることが多いです。

両面側

両手型とも呼ばれます。1人の転職エージェントが、企業にも会うし候補者にも会う、というものです。

比較的小規模、あるいは個人でやっているような転職エージェントはこちらを採っていることが多いです。こちらの流入は上記「口コミ」が占める割合が比較的高いです。

リファラ

企業の社員が、その知り合いに応募を薦めるというものです。インセンティブの仕組みは企業それぞれ。内定承諾で報奨金だったり、あるいは会食に行くとその分を補助したり。スタートアップでは内定承諾でビール1杯のこともあるかもしれません。

ここ数年でリファラル活用が話題となることが多いです。コストが比較的低く済む、また「優秀な社員の知り合いは優秀であるはず」という仮説が強く支持されているという背景があります。

イベント

採用イベント、あるいは勉強会などから応募するパターン。採用イベントにも色々あり、企業が主催する場合、転職エージェントが主催する場合。また内容も単純な説明会の場合、あるいは選考会と題して、面接まで実施する場合。大手転職エージェントによる「転職フェア」みたいなものも、ある意味ここに入るかもしれません。

再アプローチ

これは何でしょうか?

一度企業が接点をもった候補者に対し、企業が再び声をかける、というパターンです。

このパターンを敢えて分ける必要はあるのでしょうか?これは、企業側のアプローチとして近年注目されているものです。

一度企業が接点をもった候補者の集合はタレントプールと呼ばれます。多くの社会人は、転職しても一定期間働き続けます。転職して一定期間経ち、「そろそろ新しいキャリアを考えてもいいかもな、とはいえわざわざ動くほどでもないな」という人は転職市場に出てきていない状態です。企業がタレントプールに継続してコネクションをもっていると、候補者が転職市場に出る前に応募につなげる可能性が生まれます。営業、マーケティング界隈で名著とされる「THE MODEL」でも、受注を逃した案件を再度追う重要性が語られています。

しかしこの手法はまだ成熟しておらず、各企業もパターンを模索しているところです。

というような話を

技術書典8 で出そうと思っています。今回は入り口でしたが、選考に入った後の話とかも含めるつもり。自社の取り組みではなく一般論にする予定です。

*1:ITエンジニアを指します。

*2:まあ大変なのは想像どおり (想像以上) なのですが。

*3:Web ではなく窓口に電話するっていうパターンもありますかね。