Glenn Gould Plays Sibelius
- アーティスト: Glenn Gould
- 出版社/メーカー: Sony Bmg Europe
- 発売日: 2008/08/25
- メディア: CD
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シベリウスのピアノ作品といえば「樹の組曲 op.75」の第5曲「樅の木」が飛び抜けて有名で、
あとはキャッチーな小品がちょこちょこ演奏される程度だ。
しかしグールドはシベリウスの録音に際し、3つのソナチネop.67という、地味で、ほとんど知られていない作品を選出した。
(キュリッキop.41はまだマシだが)
交響曲第4番は作品番号63。つまりこの3つのソナチネも、病で自らの死を強く意識するようになった頃の作品だ。
とはいえ交響曲第4番のような絶望的な音楽とは一味違い、人間味をほとんど感じさせない
幽玄の世界を描き出している。
埃の匂いが漂う木造りの部屋にじわりと沁み入るような音楽だ。
一方のキュリッキでいうと、交響曲第2番がop.43であるし題材が叙事詩なので、比較的ストレートに胸に響く。
音楽的にはこちらの方が充実しているといえると思う。
またグールドは、複数の録音マイクをピアノからの距離を違えて配置した上で、
演奏箇所によって、異なるマイクで録音された音を再生するという実験を試みている。
ただでさえ人間味が薄い音楽が、これによって更に感情から遠ざかるような効果をもたらす。